結婚式、音楽発表会、パーティー、ダンスの舞台などなど
集合写真を撮る場面はたくさんあります。
その時の撮り方について悩むカメラマンさんが多いですよね。
あまりに、質問が多いので、ちょっとまとめてみました。
その1=集合写真の流れ
その2=並べ方
その3=カメラの設定のコツ
その4=トークで場をつなぐ
その5=カメラマンのレンズに集中させる
その6=「結婚式で集合写真撮ってください~」と言われたらの、全流れ |
その1=集合写真の流れ
集合写真は、全てカメラマンが監督となって進める必要があります。
並びを考えるところから、掛け声をかけるところまで、全てカメラマンがみんなを引っ張っていくので、先に全体の流れを掴んでおくと良いかと思います。
【集合写真の流れの例】
◆並べる
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◆まだ、ざわつく中、さっさとカラうちして、カメラの設定をある程度決める
また、カメラマンから見て、顔が被る方に、指示して動いてもらう
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◆「それではいきます~」と本番撮影
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◆撮影しながら再生画面を見て、必要があれば設定調整
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◆目つぶりなどあるので、トークで持たせながら、何枚か撮る
その2=並べ方
集合写真では、最初に、どう並べるか?を考える必要があります。
何かのイベントの際は、とにかく皆さんに1か所に集まってもらえば良いかと思います。
この時のポイントは、カメラマンが高い位置に登ること。
前列の人にかがんでもらったり、座ったりしてもらい、中間の方には中腰になることで、全体を写しやすくはなりますが、それだけではもの足りない時もあります。
特に、結婚式2次会などで撮影する時などは、脚立などを用意して撮ることをお勧めします。
もっとフォーマルに撮らないといけない場合は、こんな感じ。
椅子や、木箱を使います。
ステージ撮影の場合など、箱馬と呼ばれる木箱があります。これを使うと、高低差が簡単に作れます。
※ただし、施設によっては、箱馬が有料なところもあるので、注意が必要です。
10人程度までは1列でいけると思います。その人数を超えた時に、列を作ることを考えると良いのではないかと思います。
■人数が多い場合は
・1列目=座る
・2列目=膝立ち
・3列目=椅子に座る
・4列目=床の上に立つ
・5列目=箱馬に乗って立つ
など。
■横に並べる人数は
3~4列にする場合の横に並ぶ人数は、最大13~15人くらいかと思います。
当日、いきなりやろうとすると、とてつもなく時間がかかるので、ダンスの発表会などで、集合写真がある場合は、このような見本をダンス教室の先生に見せて、並びを決めておいてもらうのが良いでしょう。
その3=カメラの設定
◆三脚は使うのか?
カメラの高感度化が進んでいるので、最近は三脚を使わなくても良い時が多くなりました。
ただ、カメラマンの見せ方として、三脚を使った方が良い場合もあります。
標準レンズでSSを1/100にすれば、手持ちで充分撮れます。
◆撮影モードは?設定値は?
Mモード撮影をするとやりやすいかと思います。
多くのネット情報で、F値は8にすると良いと書かれているものが多いのですが、実は集合写真を撮る場面は暗いことが多く、そこまでF値を高められないシーンが多いです。
ですが、F値を高めた方が良いことは間違いではないので、F6.3以上で、高感度ノイズを考えつつ、F値を決めると良いかと思います。
なので、F値は6.3以上。
◆ストロボを使うかどうか?
ストロボは使った方が良いでしょう。
室内では、ストロボを使った方が圧倒的に綺麗に撮れます。
また、撮られる側に撮っても、ストロボが光ることで、「撮られた!」と実感できます。
撮影のタイミングが、撮られる側にわかるは、とても大事です。
ストロボは、次の項目で、もっと詳しくご説明します。
で、ここからが、裏技です。
◆本番前のカラ打ち
・並べている最中に、試し撮影をして、設定をある程度固めてしまうのがポイントです。
・みんなが並び終えて、ハイ!撮りますよ!という前に設定を決めてしまいます。
その3の補足=ストロボはどうする?
集合写真を撮影するのに、ストロボは必須かと思います。
影を消す意味もありますが、意外に、この意味も大きい気がします。
撮られる側が、「撮られた」と実感しやすいこと。
そんな意味もあって、どんな時でも、ストロボは光らせます。
室内だと天井バウンスが一般的かと思いますが、こんな時は困りますよね。
◇天井が黒く、光が戻ってこない
◇天井が、色天井だと、その色が被る
◇天井が高すぎて、光が戻ってこない
◇屋外など、天井が無い
仕方なく直射をすると、パキっとしたストロボの光の感じになってしまうので悩む方も多です。
そこで、私は、先の動画の中でも使っていますが、『BIGなキャッチライトパネル』を使っています。
ここで、詳しく解説しております。
↓↓↓
※正面に向かう光が作れるので、天井バウンスの時に生じるアゴのしたの影を薄く出来ます。
■ここまでで補足
照明などあるパーティー会場では、非常に設定に悩みます。
実際にあった、悩ましい撮影をお見せします。
こんな環境。
パーティー会場は、奥にステージがあって、ステージの上は照明で照らされています。
ステージ下は、そんなに明るくありません。
まずは、ストロボを入れて前方の人が明るくなるようにしました。
F5.6、SS1/100、ISO2500
そうしたら、奥の人はみんな白飛び。
例えばLightroomで編集しようと思っても、白飛びしたところは、修復できません。
そこで、後ろの人たちを白飛びしないように意識して設定。
F7.1、SS1/100、ISO1250
集合写真は、これだけの人数がいるわけですがら、一応、予備の写真も必要。
何枚かさらに撮ります。
その際に、さらに設定を追求します。
ただ、この現場では、後方の人に露出を合わせると、全体の露出が下がるので、ストロボも強烈に発光します。そのため、光らないことも。
Canonのフラッグシップのストロボ600EX-RTを使っても、チャージ速度が極端に落ち、光らないなんてことも起こり始めました。
ちなみに、ストロボが光ってない写真をみていただくと、どこに露出を合わせているかがわかるかと思います。
最後の方は、ISOを1000までにして、ストロボON。
でも、あまり時間をかけると、
「なんだよ~」と思われそう。
しかも、ストロボもチャージに時間が。
撮られている方の気持ちも考え、あとは編集すればいい、という範囲までにします。
もっと、ストロボ調光で強く発光した方が良かったかもしれませんが、時間的にそこまで出来なかったわけです。
F7.1、SS1/100、ISO1000
Lightroomで最終仕上げしたのがこちら。
よく、ネットの掲示板などで、集合写真の撮り方について質問をすると
「F8で」
「三脚立てて」
など、サラッと書かれる人を多くみます。
でも、今回の設定値を見て頂いたり、脚立に登っている状況から、「その両方とも出来ない~」というわけ。
ほとんど、掲示板の回答は約には立たないので、現場で覚えるしかないです。
その4=トークで場をつなぐ
シャッターを1回押して、それで終わりというわけにはいきません。
シャッターを1回押した後に、想定されること
■誰かが、目つぶりしている可能性がある
■カメラの設定の微調整が必要かも
そのため、シャッターを2回目、3回目と押すことになりますが、撮影時のみなさんの笑顔を絶やさないように、カメラマンは、次のことに気を遣いましょう。
【トークで場を持たせる】
・トークに関しては、面白いこと言う必要はありません。
・話す内容に困ったら、「キレイに撮れてますよ~」だけでもOK
・カメラから顔を離して、被写体になる皆さんに顔を向けなら喋りましょう
・カメラの設定の調整が必要な時は、トークをしながら、設定ダイヤルなど回します
★参考までに動画で解説★
実際に、私が結婚式2次会で集合写真を撮るところを動画にしましたので、ご覧になってみてください。
その5=カメラマンのレンズに集中させる
ここでプロならではの方法を書きます。一緒に想像してください。
◆①ダンスの発表会の時に、演目が終わって、みんなで集合写真を撮るという場面。
メインカメラマンさんが
「は~い、こっち見てください~」
と、声を張り上げているのにも関わらず、目線がレンズとは違う方向を向いてしまう場合があります。
これは、同時に、観客としてお見えになったお友達がスマホカメラを集合写真側に向けるので、出演者もお友達のカメラに目線を送るようになります。
この時の対処法は、もしあなたがメインカメラとして撮影に入っているのなら、こう言えば良いんです。
「目線がアチコチ行くので、最初に、私が撮ってから皆さん撮ってもらっていいでしょうか?」
これは、メインカメラマンだからこそ言える言葉です。
撮りながら、目線が定まっていないようなら、撮ってる最中に左右を見渡すと、カメラを構えている人が「あ、やば!」と思って、スマホを下ろします。とても効き目があるので、この言葉を使うようにすると良いかと思います。
②結婚式などで、新郎新婦の座る高砂で撮るときに、お友達のスマホ撮影が終わらない
結婚式カメラマンをやっていると、この状況に遭遇することが多いです。
当日は、参加者全員が、スマホカメラマンになってしまうことを想像しておきましょう。
よくあるのは、高砂で新郎新婦と撮りたいお友達が撮影の順番になった時に、まだ撮影を待っている誰かにスマホを渡して撮ってもらうというもの。
メインカメラマンのあなたを尻目に、スマホカメラをバンバン撮る人が登場して、ぜんぜんメインカメラマンのあなたに目線が行かなくなる時があります。
しかも、その撮影に時間がかかってしまうなどです。
この解決方法はこれです。高砂で新郎新婦と一緒に撮る方の全員のスマホを、あなたが撮影してしまうことです。
撮影スピードも格段に上がりますし、目線もしっかりもらうことができます。
これをやるには、日頃からスマホ撮影にも慣れておくことです。
だって、スマホであっても、プロレベルで撮らないと、がっかりされますからね。
③2人以上のグループで入ったら、集合写真撮影中のカメラマン以外はレンズを下げる
レンズが複数あると、撮られる側は、どっちを見て良いかわからなくなります。
これ、前に、私の生徒さん複数でイベントで撮影した時にありました。
メインで撮っている人以外は、レンズを下げておくのが鉄則です。
集合写真は、とにかく多くのカメラで撮っておくと、機材トラブルの際に安心なので、複数で入った場合は、入ったみんなが集合写真を撮る。そして、自分の番でない時はレンズを下げておく。
このことは、必ず守りましょう。
その6=「結婚式で集合写真撮ってください~」と言われたらの、全流れ
「結婚式の時の集合写真を頼まれて不安です」
というお声を頂いたので、結婚式の集合写真について書いておきます。
カタモノと呼ばれる、しっかり並べて撮るのは、写真室がやることが多いです。
しっかり環境が用意されているので、ここでは、スナップカメラマン向けのやり方をご紹介します。
スナップカメラマンが撮る集合写真は、先の写真室と違って、少しラフな感じかもしれません。
【並べ方】
結婚式、1.5次会など、ご両親・親族もいる場合。
中央に新郎新婦、その両脇にご両親、そのさらに脇に親族で、あとはそこに向かって、集まってもらえば大丈夫かと。
(新郎と、新婦の並びは、新郎のスーツの胸ポケット側に新婦が来る)
2次会でお友達だけ。
新郎・新婦を椅子に座ってもらい、その周りに友人が集まる。
前方の方は座り、中間は中腰。
中腰がキツイことが多いのですが、お二人のために頑張ってもらいましょ~、、、というのは冗談で、サクサクとカメラマンが撮ることで負担なくするように心がけましょう。
【事前チェック】
人数が多い時、撮る場所が階段など段差がある場合は、顔が被る必要は無いのですが、平坦なところで大勢の人を撮る場合は、カメラマンが高いところに登ることで、顔が被ってしまうのを防げます。
この時に脚立があると便利!事前に会場に借りれるか?確認しておくと良いかと思います。
この確認のタイミングは、前日までに新郎新婦に会場に聞いておいてもらうか、もしくは、当日会場のスタッフさんに聞くか?です。
ベストは、「集合写真撮ってよ」と言われた時に、会場に脚立など借りれるか聞いてもらうのが良いかと。脚立無しでも撮れる場合、例えば階段があるとか、カメラマンが高い位置から撮れる場所があるなどは、会場側が教えてくれるかと思います。
【機材】
レンズやストロボをどうするか?
脚立に登って全員を写真に収めるのに、標準レンズだけだと、両脇の方が切れてしまう場合があります。
心配なので、広角レンズも用意しています。
広角レンズは、安いのをテキトーに買うと、歪みがヒドイことが多いので、グレードの高いものをレンタルしておくのが良いかと思います。
ストロボですが、屋外でも使います。
「撮った」というのがわかるからです。
ストロボをあまり使いなれてない場合は、直射でも良いかと思います(広角レンズを使う時だけは、ストロボの広角板だけ出すようにしてくださいね)。
直射のパキッとした感じが嫌な場合は、BIGなキャッチライトパネルをおススメしておりますが、慣れなくて心配な場合は、直射を使い、LRのハイライトを下げて、パキッと感を極力減らす方法なども視野に入れておくと良いかと思います。
【撮る時】
なるべく多く撮る。
人数が多いので、目つぶりが起きてしまうことが多いです。
なので、「人数多いので、多めに撮らして頂きます~」と言ってスタートすると良いかと思います。
露出があってなくても焦らず、「キレイに撮れてます!もう一枚いきます~」とつなぐ。みんなを不安にさせない。けっこうLRで修正できるので、大丈夫よ~!!
最後に
テクニックばかりに目が行きがちですが、一番大事なのは、カメラマンさんが自信を持って、胸を張って撮ることです。
多少の失敗なら、Lightroomなどの編集ソフトで修正することも可能ですので、あまり設定を完璧にすることばかりにとらわれずに、余裕をもって撮影に挑むのがおススメです。
◆プロカメラマンが足りない
今、カメラ界は深刻な状況に陥っています。
とても高価で、高性能な写真を撮れるカメラがどんどん発売されているにも関わらず、プロカメラマンは足りてません。
長くカメラをやっていても、お仕事として、きっちり撮れるかは別の話。
また、現場でどのように振る舞うか?なども重要です。
確実に撮れて、どのように振る舞うかわかれば、社会人のあなたでも、主婦のあなたでも、今のお仕事を続けながらプロカメラマンになれます。
確実に撮れるカメラマンは本当に少ないのです。あなたのチカラが必要です。
◆ブライダルカメラマン講座では実際の施設を借りて練習しちゃいましょ~
◆イベントカメラマン養成講座は、カメラを持っていると声がかかりやすいイベント全般の撮影実践練習ができます!